Curtis / Curtis Mayfield

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01 (Don't Worry) If There's A Hell below We're All Gonna Go
02 The Other Side Of Town
03 The Making Of You
04 We The People Who Are Darker Than Blue
05 Move On Up
06 Miss Black America
07 Wild And Free
08 Give It Up

元インプレッションズの中心人物にして、シカゴ・ノーザンソウル界のVIP、カーティス・メイフィールドがインプレッションズより独立後にリリースしたソロ・アルバム。
エレクトリック・ピアノの鈍いイントロに引きずられながら、突然「ニガーズ、ホワイティーズ、ジューズ…」と呼びかける(1)のファンキーなサウンドにインプレッションズ時代のカリカリとしたギター中心のサウンドに慣れた耳には驚きでしょう。
そして(5)は彼の代表作のひとつに数えられるファンキー・チューン。
ホーンとパーカッションが暴れまくるニュー・ソウルの先駆けとなるサウンド、そして「泣くんじゃない、立ち上がろう。」と訴えるメッセージ。
カーティス・メイフィールドの70年代における豊潤な活動の始まりにして、重要作。

Live! / Curtis Mayfield

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Disc 1:
01 Mighty Mighty (Spade And Whitey)
02 Rap
03 I Plan To Stay A Believer
04 We're A Winner
05 Rap
06 We've Only Just Begun
07 People Get Ready
08 Rap
09 Stare And Stare

Disc 2:
01 Check Out Your Mind
02 Gypsy Woman
03 The Makings Of You
04 Rap
05 We The People Who Are Darker Than Blue
06 (Don't Worry) If There's A Hell below We're All Gonna Go
07 Stone Junkie

シカゴはインプレッションズ出身の才人、カーティス・メイフィールドが71年に発表したソロ・ライヴアルバム。
彼の影響を受けたアーティストは相当数に登り、ヒップ・ホッパーズは勿論のこと、レニー・クラヴィッツやディアンジェロといった人達にも影響を与えています。
ライヴ会場が下に紹介するダニー・ハサウェイと同じニューヨークのビター・エンドという事と、カーティスとダニーはかつて一緒に仕事をしていたという事もあってか、手触り(?)はずいぶんと似ているように感じます。
カーティス・サウンドの特徴はギターとパーカッションを多用した彼独特のノリを見せ、1曲目の「Mighty Mighty」からたっぷりとカーティス・メイフィールドの世界を味わう事ができます。
曲間では観客とコミュニケーションをとり、インプレッションズ時代の名作(7)では大きな拍手。
初期カーティスの貴重な記録。

Superfly / Curtis Mayfield

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01 Little Child Running Wild
02 Pusher Man
03 Freddie's Dead
04 Junkie Chase
05 Give Me Your Love
06 Eddie You Should Know Better
07 No Thing On Me
08 Think
09 SuperFly?

黒人映画のサントラ盤ではありますが、ほとんどカーティス・メイフィールドのソロ・アルバムの範疇に入れてかまわないソロ4作目。
彼の代表作であり、最も大きいセールスを記録したアルバム。
「オレはあんたのプッシャーマン(麻薬密売人)さ」と苦々しく歌う(2)はパーカッションを多用し、細かくリズムを刻むギターと相まって異様にクール。
黒人街の雰囲気ってこんな感じなのかな〜。
フィッシュボーンもカヴァーした(3)はギターとストリングスの絡みが絶妙。
甘い(5)も後年見せる愛の語り部的な佇まいを見せております。
アルバム単位としても非常にまとまっており、オリジナルを一枚、という場合にはおすすめできる内容のアルバム。

Back To The World / Curtis Mayfield

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01 Back To The World
02 Future Shock
03 Right On For The Darkness
04 Future Song
05 If I Were Only A Child Again
06 Can't Say Nothin'
07 Keep On Trippin'

カーティス・メイフィールドは60年代からシカゴでインプレッションズというグループを率いて活動していましたが、その当時から黒人意識を前面 に打ち出した「People Get Ready」や「We're A Winner」などのメッセージ・ソングを発表しますが、70年にカーティスはインプレッションズから独立、ソロ・アーティストとしても数々の名作を残します。
その中でもこの「Back To The World」がニュー・ソウル運動が盛んだった時期で、かつ音楽的にも最も脂がのっていたということで、彼の代表作といって過言ではないでしょう。
1曲目のイントロはヴェトナムからアメリカ本国へ帰国してくる輸送機のジェット音からはじまり、「きたきたきた〜っ!」って感じのファンキーなホーンとストリングスが絶妙。
歌詞の内容としては、「地獄だったヴェトナムから帰ってきたら、祖国アメリカはもっと地獄だった…。」と、かなり暗いんですけど、曲があんまりメロウでかっこイイんで、個人的にはつい忘れがち。
そして、コーダでは再びヴェトナムに飛び立つのか、ジェット機の音が…。
2曲目の「Future Shock」はハービー・ハンコック84年作同タイトルアルバムでカヴァーされていました。
これもファンキーなナンバー。
基本的にはほとんどメッセージ・ソングで固められていますが、カーティスのメロディ・メーカーっぷりが素晴らしく、メッセージが鼻につくこともなく聴かせてしまうのはさすが。

Sweet Exorcist / Curtis Mayfield

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01 Ain't Got Time
02 Sweet Exorcist
03 To Be Invisible
04 Power To The People
05 Kung Fu
06 Suffer
07 Make Me Believe In You

タイトルはたぶん当時流行っていた恐怖映画の「エクソシスト」からとられたものかと思います。
ただ、今回はサントラとは全く関係なく、スウィート・エクソシスト、甘美な祈祷師を女性に見立てた、ある意味ゴスペル的な歌に仕上げています。
(3)はグラディス・ナイト&ピップスに提供した作品。
グラディスの堂々とした歌唱もいいですが、カーティスのファルセットもここでは効果 を挙げています。
また、(5)も当時流行っていたカンフー映画(ブルース・リー主演の「燃えよドラゴン」などは黒人空手家、ジム・ケリーの出演などもあって、大人気だった)からの引用かと思いますが、ここでも正しく生きるよう少年に諭すカーティス。
わかりやすいタイトルで子供たちの心をつかもうとしたのでしょう、しかし聴いてみれば高品質なサウンドに正当なメッセージ、彼の優しさが伝わるアルバムだと思います。
是非彼のメッセージがわかるように日本盤での購入をおすすめしたい一枚。

There's No Place like America Today / Curtis Mayfield

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01 Billy Jack
02 When Seasons Change
03 So In Love
04 Jesus
05 Blue Monday People
06 Hard Times
07 Love To The People

カーティス・メイフィールドのキャリアの中で最もへヴィな内容を持つ作品。
「今日のアメリカのような場所はどこにもない」という幸せそうな白人家庭を描く看板の前に、食料配給を待つ黒人達。
このジャケットだけでもすでに強烈なメッセージを発していますが、内容はさらに強烈。
(1)(2)での出口の見えない絶望を歌うカーティス。
いつものみんなを励まし、高揚させるようなグルーヴィーなサウンドは影を潜め、シンプルなサウンドにのせて淡々と歌っているだけに、その切迫感は凄まじいものがあります。
一転、(3)での慈愛に満ちた歌がことさら胸に染みますが、それもつかの間、再び絶望に満ちた歌がエンディングまで続いていきます。
この作品が発表された75年はウォーターゲート事件による政治不信が国を覆い、黒人間においては公民権運動が一段落して逆に黒人の間の貧富の差が激しくなり、共に黒人の意識高揚を歌ったスライ&ザ・ファミリー・ストーンは「Fresh」、「Small Talk」を発表した後ほぼ失速してしまうという状況でした。
これを受けてのカーティスのアメリカに対する最後の一撃がこのアルバムと言ってもよいでしょう。
この後、カーティスは映画音楽を手がけたり、ラヴソングを中心に歌ったりという活動に移行しますが、この作品まで続いていた輝きは見られなくなってしまいます。

Something To Believe In / Curtis Mayfield

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01 Love Me, Love Me Now
02 Never Let Me Go
03 Tripping Out
04 People Never Give Up
05 It's Alright
06 Something To Believe In
07 Never Stop Loving Me

カーティスは75年のアルバム「There's No Place like America Today」以降社会派の看板を一度降ろしてラヴソングを中心に据えたアルバムをリリースしつづけますが、これはそんな中で、80年にリリースされた一枚。
まあこのアルバムの魅力はミディアム・テンポの(3)につきるでしょう。
気持ちいいグルーヴに包まれながらおねいちゃんを求めて肉汁だらだらに歌うカーティス。
これはクラブ・クラシックスの一枚に数えられているのかな。 ちなみにこの曲にインスパイアされたのが山下達郎の「あまく危険な香り」。
インプレッションズの(5)の再録はいまいち。
カーティスは90年にステージ照明装置の落下事故に遭い半身不随になってしまいますが、不屈の闘志によって96年には奇跡の復活作「New World Order」をリリースしてファンを狂喜させましたが、99年に惜しくも亡くなってしまいます。
彼については、まずは70年初期のソロ・アルバムを聴いて、彼のメッセージを感じていただきたいと思います。

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