Instant Vintage / Raphael Saadiq

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01. Doing What I Can (Archer/Ozuna) - 4:19
02. Body Parts (Archer/Ozuna) - 3:49
03. Be Here (Archer/Ozuna/Wooten) - 3:48
04. Still Ray (Archer/Ozuna/Smith) - 3:03
05. Oph (Standrige) - 2:34
06. You're the One That I Like (Archer/Ozuna) - 3:13
07. Excuss Me performed by Saadiq / Angie Stone / Calvin Richardson - 3:24
08. Charlie Ray (Archer/Ozuna) - 2:42
09. Different Times performed by Saadiq / T-Boz - 5:01
10. Tick Tock (Ewing/Jackson) - 4:28
11. People (Cottrell/Ewing) - 4:26
12. Tek No. 1 (Riley/Standrige) - 0:31
13. Faithful (Smith) - 4:05
14. Make My Day (Archer/Ozuna) - 1:39
15. Blind Man (Saadiq) - 4:36
16. Tek No. 2 (Riley/Standrige) - 2:10
17. Uptown performed by Saadiq / Leslie Wilson - 5:07
18. What's Life Like (Smith) - 2:49
19. Skyy, Can You Feel Me performed by Saadiq / Skyy - 6:05
20. What? (Ozuna/Saadiq/Stanridge/Wooten) - 12:00

元トニーズの中心人物で、現在もコンテンポラリーR&B界において、クールな知性派というスタンスを崩さず、独自の存在感を醸し出すラファエル・サディークの初ソロアルバム。
ドゥウェイン・ウィギンズのソロアルバムがトニーズの延長線上そのままの印象を受けるサウンドを展開したのに対し、こちらはさまざまな手法を使って自らの音楽的出自を明らかにする、といった趣のサウンド。
のっけからバリー・ホワイトのラヴ・アンリミテッド・オーケストラを連想させるイントロダクションから展開される音世界は、ある意味R&Bの文脈からはずれたような印象を受けます。
もちろん(6)なんかはトニーズの中で彼がどういった役割を担っていたかがわかるトラックになっていますが。
(3)にはディアンジェロが、そして(7)は、アンジー・ストーンや先に力のこもったデビュー・アルバムをリリースしたカルヴィン・リチャードソンが参加してソウル濃度にも気を配っています。
総論的には、ラファエルのシンガーとしての力量は評価に値するものではないし、作品全体を通してもコンテンポラリーR&Bの主流をひっくり返すようなインパクトはないものの、デビュー以来十数年のキャリアを総括し、彼なりのミュージシャンシップを貫いた実に懐が深い佳作と言えるでしょう。
むしろこの作品をひとつの基準において、今後彼が手がけていくであろうシンガー達の作品を楽しみに待っているほうがいいような気が。
言い方を変えると、クインシー・ジョーンズとかバート・バカラックみたいな立ち位置で評価すればいいのかな。
BMRでもそんなにいい事書かれてなかったし、試聴したときはさほどいい印象を受けませんでしたが、こうして腰を落ち着けて聴いてみると実にいい。
これからはBMRのレコ評は信用せんことにしよう(笑)。
しかし、CD盤のデザインがどっかのローカルなステージでベース弾いてる自分の子供の頃の写真っていうのはあんまりイケてないぞ〜(笑)。

All Hits at the House of Blues / Raphael Saadiq

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01. Body Parts (Ozuna/Saadiq/Stanbridge) - 3:26
02. Charlie Ray (Ozuna/Saadiq/Stanbridge) - 4:54
03. Excuse Me (Ozuna/Richardson/Saadiq/Stanbridge/Stone) - 4:57
04. Faithful (Saadiq/Wooten) - 3:37
05. Ask of You (Hachidai/Riley/Saadiq/Takao) - 5:52
06. Just Me and You (Saadiq) - 1:49
07. Just a Man performed by Saadiq / Devin The Dude - 3:49
08. Copy Cat performed by Joi - 2:35
09. Missing You performed by Joi - 6:24
10. Still a Man performed by Tony Toni Tone - 5:16
11. Lay Your Head on My Pillow performed by Tony Toni Tone - 2:34
12. Whatever You Want performed by Tony Toni Tone - 1:38
13. It Never Rains performed by Tony Toni Tone - 2:00
14. Anniversary performed by Tony Toni Tone - 2:23
15. Let's Get Down performed by Tony Toni Tone / DJ Quik - 4:03
16. Loving You performed by Tony Toni Tone - 1:51
17. Still Ray (Ozuna/Saadiq/Stanbridge/Wooten) - 6:56
18. Blind Man (Saadiq) - 7:04
19. Different Times performed by Saadiq / Ledisi / Goapele - 6:57
20. Uptown performed by Saadiq / Leslie Wilson - 4:44
21. You (Broadus/Fareed/Gilliam/Saadiq) - 5:44
22. Get Involved (Fareed/Saadiq) - 6:44
23. Be Here performed by Saadiq / D'Angelo - 7:44

元?Tony Toni Toneの中心人物、ラファエル・サディークのソロ・ライヴ・アルバム。
自分のレーベル、Pookie Entertamentを立ち上げ、その第一弾としてこの2枚組ライヴ・アルバムをリリースしたみたいで、その寡作さと、独特の音楽性、インテリめいた風貌も相俟って最近はR&B界の哲人めいた趣さえ感じます。
ゲストはJoi、Ledidi、レズリー・ウィルソン、そしてディアンジェロが参加、100分近い収録時間でおなかいっぱいになれます。
トニーズ時代のセクションにおいては、(10)とD.J. Quikがゲスト参加した(15)が気合いの入った演奏を繰り広げたものの、(11)〜(14)、(16)あたりはなんかさらっと終わらせてちょっと消化不良かなあ。
(11)(13)なんて大スキなのに〜。
ちなみに「performed by Tony Toni Tone」となってますが、アルバムのクレジットにはドゥウェインもティモシーも入ってないのでたぶんラファエル一人でやってるんでしょう。
そういえば再結成するとかなんとかいう噂があったんだけど、あれはガセのまんまで終わるのかなあ〜。
(17)以降が2枚目になるんですが、ルーシー・パール時代の作品やらソロ作品を気合いを入れて演奏してます。
やっぱ(20)のレズリーが後半シャウトがハイライトかなあ。
そしてラストの曲の途中でディアンジェロが登場する段になっての観客の騒ぎっぷりがステキ。
とはいうものの、オリジナルの雰囲気をブチ壊すべく2分過ぎあたりからモロにファンカデリックなギターが炸裂してるし、ディアンジェロもトレードマークのセクシーなファルセットをかなぐり捨てて、ジョージ・クリントンやゲイリー・シャイダー風のシャウトに終始してるしで、なんかアルバムのエンディングとしては最初に聴いたあの甘い作品群はなんだったんだという気にさせてくれます(笑)。
昨年にドゥウェイン・ウィギンズが中心になって行ったライヴを収めたアルバムと聴き比べると、ドゥウェインの場合はトニーズどっぷりという感じですが、ラファエルの場合はトニーズもひとつの通過点、と捉えてるのかなという感じで、ま、ラファエル自身はヴォーカリストとしてはさほどの実力を持ち合わせているとは言い難いので、こういうふうにゲストを多数呼んでのライヴ・スタイルは非常にイイ感じで、ラファエルの熱心なファンなら満足できる仕上がりだと思います。

The Way I See It / Raphael Saadiq

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1. Sure Hope You Mean It / Saadiq / 3:40
2. 100 Yard Dash / Ozuna, Saadiq / 2:18
3. Keep Marchin' / Saadiq / 2:37
4. Big Easy / Saadiq / 3:18
5. Just One Kiss / Saadiq / 2:32
6. Love That Girl / Ozuna, Saadiq / 3:04
7. Calling / Mendoza, Saadiq / 3:44
8. Staying in Love / Saadiq / 2:53
9. Oh Girl / Saadiq / 3:34
10. Let's Take a Walk / Curtis, Saadiq / 2:28
11. Never Give You Up / Hilton, Saadiq / 4:12
12. Sometimes / Ozuna, Saadiq / 4:06
13. Oh Girl [*] / Saadiq / 3:41

ラファエル・サディークのソロ3作目はオールド・スクールへの傾倒っぷりを示すアルバムに仕上がりました。
思えばトニーズ時代から
他のシンガーをプロデュースする際は自分の持ち味を生かしつつわりと同時代性を意識した楽曲に仕上げますが、自分の作品の場合はリミッターをはずしているようで、(1)からモータウン、ハイ、フィリーといったサウンドへの愛情を隠そうとしません。
ニュー・オーリーンズの名物バンド、リバース・ブラスバンドをゲストに迎えた(4)、そしてジョス・ストーンをゲストに甘く仕上げた(5)と佳曲が並びますが、個人的に一番気に入ったのはスウィート・コーラス・グループ風に仕上げた(9)。
これには悶絶いたしました。
逆にJay-Zの参加した(12)はいらない。
そしてスティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加した(11)も素晴らしい。
またいずれの曲も2〜3分ぐらいとコンパクトにまとめ、聴きやすいのもグー。
全部で42分か。
このぐらいがアルバムとしてホントに聴きやすい。

他のシンガーのプロデュースでカネ稼いで自分のソロで好きなことやってる感じでしょうか。
今回は彼のキャリアの中でもかなり充実した作品になったんじゃないでしょうか。

そういえばドゥウェイン・ウィギンズとかどうしちゃったんだろ。
モータウンで一枚ソロ出したっきりだな。