Kemistry / Kem

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01. Matter of Time (KEM ) - 4:44
02. Miss You (KEM ) - 4:30
03. Say (KEM ) - 5:44
04. Inside (KEM ) - 4:52
05. I'm Missin' Your Love (KEM ) - 4:17
06. Love Calls (KEM ) - 5:15
07. Brotha Man (KEM ) - 4:01
08. Cherish This Moment (KEM ) - 4:16
09. This Place (Church of Today) (KEM ) - 4:10
10. You Are (KEM ) - 5:51

たぶんデトロイト出身のシンガー=ソングライターのモータウンからのデビュー・アルバム。
とはいうものの、昨年にインディから発売されていたものをモータウンで出し直していたらしいです。
この人についてはジャズ系というよりは、80年代クワイエット・ストーム系の継承者として捉えた方が良いでしょう。
インディ系によく見られる安い打ち込みではなく、6名からなるミュージシャン達で作られ、シンプルながらもそれを逆手に取ってキッチリとアレンジメントを施した飽きのこない演奏はさすが。
(2)(5)あたりでミュート・トランペットが囁いたり、ケム本人がスキャットを駆使するあたりはジャズの素養を感じさせます。
ヴォーカルは決してゴスペル風にガナらず、あくまでスムーズ&メロウ。
シングル(6)がやはり白眉。
あま〜く囁くハイ・テナーがセクシーでアーバンなミッドナイトを彩るミディアム・スロウで大満足の一品。
(7)なんかヴォーカルのフレージングがアル・ジャロウまんまで、ちょっと笑えます。
一聴すると、ジミ〜なアルバムに見えるかもしれませんが、濃密な感情表現と達者な演奏陣のおかげで飽きさせません。
ネプチューンズみたいなギラギラなのも悪くはないですが、いぶし銀のよさ、という意味でおすすめしたい一枚。

Intimacy / Kem

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1. When I'm Loving You / Kem / 3:42
2. Can You Feel It / Kem / 6:07
3. Love Never Fails / Kem / 3:49
4. Share My Life / Kem / 4:20
5. Human Touch / Kem / 5:56
6. If It's Love / Kem, Rutherford / 4:15
7. Why Would You Stay / Kem / 4:05
8. Mother's Love / Kem / 4:19
9. You're on My Mind / Kem / 4:32
10. Golden Days / Kem, Scott / 4:41

03年にデビュー以来、マイペースで活動を続けるKEMのサード・アルバム。
この7年間インディ落ちもせずモータウンでリリースされているのは、それだけ彼の作る音楽が支持されているからでしょう。
アルバムはどことなくボッサな雰囲気の(1)からスタート。
どこまでもアーバン・メロウな曲が続きますが、個人的な好みは(5)。

アルバム通して口当たりはあくまでスムーズ。
過去の2作と比べてもまったく遜色のない出来映えに満足の一品。
遜色ないちうか、どこまでもおんなじなんですが(笑)。

でもこういうのが一番強いのかもしれないなあ。
流行に惑わされて自分たちが作ったスタイルを捨てちゃってしくじったグループがどれだけいたことか。
20年前にアース・ウィンド&ファイアやクール&ザ・ギャングがニュー・ジャック・スウィングをやったときはけっこうがっかりしました。
当然というかそこから両者とも本格的に凋落が始まったし。
そういった意味でアイズレー・ブラザーズなんかはヒップホップ・シーンからの再評価時に自分の立ち位置をしっかり理解したのがよかった。

自分のスタイルを貫くことの大切さがKEMのアルバムにはあると思います。
しかしこういうのを歌う新人シンガーはなんで出てこないんだ?

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